・手足が冷えて眠れない理由
・一番寒い時期は○○が疲れやすい
暦の上では春を迎えますが寒暖差もあり、まだ寒さが残る季節です。
今回は体の冷えについてお話し致します。
●手足が冷えて眠れない理由
冷え性は特に女性に多く、冬だけでなく夏でもエアコンの冷えに悩む人が多いです。
冬は手足が冷えて眠れない人がいます。
筋力不足による血流低下など、考えられる原因は様々です。
年々冷えがひどくなっている人、手足が冷えて眠れない人は考えられる原因として、交感神経が優位になり過ぎている可能性があります。
現代人は、何かと交感神経が優位になりやすい生活を送っています。
スマホやパソコンの長時間使用、運動不足、長時間座っている生活、精神ストレスなど日常の中で様々なストレスを受け続けているのです。
日中に活動している時は、血液は体の中の脳、心臓、筋肉など体の中心部へ多く流れ、深部体温が高くなります。
そして夜になると日中に働いた部分を休ませるため、抹消へ血液が移動して深部体温が下がります。
この時、良質な睡眠に必要なメラトニンや酸素、営養も全身の毛細血管へ届けられます。
血管の拡張・収縮をコントロールしているのが自律神経です。
自律神経のバランスが良いと、夜は副交感神経が優位になり、血管が拡張して体の末端まで血液がよく巡ります。
しかし、夜になっても交感神経がずっと優位なままだと、体の中心部に血液が集まったままになり、末端の毛細血管まで血液が十分に流れていきません。
つまり深部体温が下がりきっていない状態です。
夜は副交感神経が優位になることで、メラトニンや成長ホルモンも全身を巡り、良質な睡眠をとることが出来ます。
そのため、眠る時間になっても交感神経が優位な状態だと、なかなか眠れない、または眠りが浅かったり、翌朝になっても疲れが十分にとれていないなど睡眠の質が低下してしまいます。
また、逆に冷えによって自律神経失調症が悪化することもあります。
冷えそのものがストレスの間接的な原因になっているのです。
●真冬は副腎が疲れやすい
寒くてじっとしているだけでも、ストレスに対抗するホルモンであるコルチゾールが分泌されるように、氣候の影響を受けて体調が変化することもあります。
寒暖差や氣圧の変化も体はストレスと認識します。それが過剰になると、コルチゾールを分泌している副腎が疲労してしまいます。
副腎とは、腎臓の上にある小さな臓器です。
やる氣を出したり、ストレスに対応したり、炎症を抑えるなど重要な役割があり、とても丈夫な臓器ですが、長期間に渡って負担をかけ続けると不調が表れます。
副腎は丈夫な臓器なので、ストレスが軽度なうちは自覚症状がありません。
以下のように段階を追って疲労が進んでいきます。
<第一段階>
副腎疲労の初期です。ストレスの対処しようと常にコルチゾールが出続けています。体も精神もハイな状態になり、充実していると感じます。
この時点ではまだ問題視されないため、無理を続けると次の段階へ進行します。
<第二段階>
疲労が表れて風邪を引きやすくなったり、アレルギー症状が出やすくなります。
肩こり、腰痛など体に痛みが出ることもあります。
<第三段階>
コルチゾールが出なくなる。
体も心も疲れて動けなくなる。
副腎の疲労を防ぐには、散歩などの運動を習慣にして冬は根菜類のように体を温める食材を積極的に食べることも大切です。
また、腸内の炎症も副腎に負担をかけてしまいますので、食生活が乱れていたら、玄米菜食に改善しましょう。
●二酸化炭素も代謝に関わっている
毛細血管まで血液が十分に巡ると、細胞は元氣になります。
酸素や営養が供給されて老廃物が出ていき、細胞の生まれ変わりを後押しします。
実は、細胞の生まれ変わりには二酸化炭素が関わっています。
二酸化炭素というと、呼吸で吐き出される不要なものと思われがちですが、とても重要な役割があるのです。
呼吸で取り込まれた酸素は、肺胞を通して全身へ運ばれていきます。
血中で酸素を運ぶのは、赤血球のヘモグロビンです。
細胞へたどり着くと、ヘモグロビンから酸素を切り離して、細胞内のミトコンドリアへ渡します。
この切り離しに二酸化炭素が関わっているのです。
もし血液中の二酸化炭素の濃度が低いと、ヘモグロビンから酸素が上手く切り離せず、せっかく細胞まで運んだのに、また血中を漂うことになります。
これでは血中に酸素は十分にあるのに細胞の生まれ変わりが滞ってしまいます。
ミトコンドリアは酸素を材料にしてエネルギーを作り出しますが、酸素がもらえないと体内がエネルギー不足になり、体のあらゆる活動が低下してしまいます。
二酸化炭素は、他にも体内のpH値の調整、氣道を広げて空氣を取り込みやすくしたり、血管を広げて血流を良くする働きもあります。
細胞の生まれ変わりに欠かせない酸素ですが、多すぎるのも良くありません。
細胞に取り込まれなかった余分な酸素は活性酸素に変化して、体内で炎症を引き起こします。
以前、酸素カプセルや酸素バーが流行った時期がありましたが、酸素を過剰に取り込むと、体が防御反応を働かせて血管が収縮します。
すると血流は少なくなりますので、脳や心臓などの臓器では逆に軽い低酸素状態に陥ってしまいます。
呼吸で必要な酸素はちゃんと取り込めますので、鼻呼吸でゆったりと吸うことが大切です。
●塩の力について
塩には様々な効力があります。(ただし、本物の塩に限ります)
体を温める作用も、その1つです。
日本では漬物にも塩がたくさん使われます。
特に北国では、冬の間の農作物が摂れない時期のための保存食として、寒さから守るため体を温めるという意味もあります。
よく世間で言われる「塩を摂り過ぎると血圧が上がる」というのは嘘です。
もちろん、ミネラルなど微量栄養素を完全に取り除いた化学塩や汚染された海域から汲み取って製造した塩は、摂らない方が良いです。
しかし、本物の塩は別です。
塩を摂らないと体が冷えるリスクが高くなります。体が冷えると血管は収縮しますので、高血圧を引き起こします。
塩の摂取と高血圧に因果関係は無いことは、専門家の実験でも証明されています。
高血圧の主な原因は余分な脂肪やコレステロールが血管の内側に沈着して狭く、硬くなるためです。
つまり、動物性脂肪やカップラーメン、ファーストフードなど加工食品の摂り過ぎが高血圧を引き起こしているのです。
体内循環が良好だと酸素や営養が体中へ行き渡り、老廃物は回収されて体の外へ出ていきます。
それが人間の活動を支えて活発に動き回り、疲れにくい体を作ります。さらに脳も活性して、記憶力の向上や想像力や発想を豊かにします。
血流が良くなると体温が上がり、免疫力が向上します。
また、内臓も強くなるので消化機能が上がり、営養吸収も良くなります。
寒いからといって縮こまっていたり、温かい部屋でじっとしているばかりの生活だと運動不足も加わり、筋力が低下して血流が悪くなります。
体が温まるものを食べ、運動もして体内循環を促していきましょう。
山本和佳
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