・○○不足による味覚異常
・お母さんとの関係が成長の土台
・母子の離別による悲劇
食について子どもへ教える事は、親に任されたとても重要な役目です。
人間は、何を食べれば良いか分からない状態で生まれてきて、ある程度の年齢になるまでは、親から与えられたものを食べて大きくなります。
お母さんと一緒に過ごしながら、子どもは食べる経験を積み重ね、味覚も形成されていきます。
それが、その後の人生の食生活を決定づけると言っても良いほど重要なのです。
●味覚障害と亜鉛
舌と上あごには味蕾という感覚器官があり、食べたものの味を感じ取っています。
味蕾の中に味覚センサーである味細胞があります。この味細胞は1ヶ月ほどで再生されるのですが、それに亜鉛が必要とされています。
亜鉛が十分にあると、甘味、酸味、塩味、苦味、旨味を正しく感じられます。
ところが、食生活の乱れによって亜鉛が不足すると味が分からなくなってしまいます。実際、多くの現代人に増えています。
味覚障害は高齢者に多いですが、若くても加工食品の食べ過ぎによって亜鉛不足が起きます。
他にも亜鉛不足の原因は、ダイエットを繰り返して営養不足になったり、薬の副作用が挙げられます。
亜鉛が不足すると、味覚障害以外にも全身に問題を引き起こします。
亜鉛はインスリンの材料として使われるため、不足すると糖尿病のリスクが高くなります。
その他にも生殖機能の低下、学習能力や記憶力の低下、免疫力の低下も引き起こします。
特に乳児は成長のために、体重比率では大人より2~3倍も多くの亜鉛を必要とします。
生命活動に欠かせない微量栄養素ですので、将来子どもを持つ方、妊娠中・授乳中のお母さんも亜鉛をしっかり摂りましょう。
●母子同室、母乳育児
生まれて間もない頃からお母さんにぴったり寄り添い、お母さんに全面的に受容されて愛情をかけてもらう事は、赤ちゃんにとって最も幸せな事で、満足感で満たされます。
自分はここにいて良いんだという安心感が、その後の成長の中で自信を育みます。
赤ちゃんは、まだ自分一人では何もする事が出来ません。
お腹が空いた時、おむつが濡れた時、一人にされて不安になった時など、泣いてお母さんを呼び、その要求を満たしてもらいます。
人間は赤ちゃんの頃に要求を満たしてもらうほど、脳の中の前頭連合野が正常に発達していきます。
前頭連合野は行動や感情を司り、他人の氣持ちを理解する働きをする場所です。
人間が社会で生きていくために、とても大切な能力ですが、お母さんと離れてしまったり、上手く関係が築けないと発育に支障が出ることがあります。
赤ちゃんの時期の過ごし方が、その後の青少年期、大人になっても影響し続けるのです。
●母子の一体感
赤ちゃんにとって、お母さんは最も身近な存在です。
お母さんが赤ちゃんに微笑みかけ、優しく話しかけたり、抱っこをして体と体が密着したコミュニケーションをしていく中で、赤ちゃんは次第にお母さんの動作に反応するようになります。
こうしてお母さんと赤ちゃんの間には、満足感と幸福感で満たされた一体感が出来ていきます。
この頃、赤ちゃんは「自分を守ってくれるのは誰なのか」を、お母さんは「誰を守ってあげなくてはいけないのか」を確認しています。
それは記憶とは全く違うもので、本能に深く刻まれ、生後6ヶ月頃までに「守ってあげる」「守ってくれる」関係となり、互いに結びつきが深くなります。
一体感がゆるぎないものになるには、少なくとも3年かかります。子どもは3歳まではお母さんの一部と言われるのは、そのためです。
カモの赤ちゃんが母カモを一生懸命に追いかけている姿を見たことがあると思います。これは、お母さんに外敵から守ってもらおうという動物としての基本行動です。
人間の赤ちゃんも同じで、「自分を守ってくれるのはお母さんだ」と認識すると、お母さんにくっついた状態を維持しようとする行動をします。これは遺伝子に組み込まれています。
例えば、お母さんが少しの間離れると赤ちゃんが泣き叫びますが、お母さんが戻ってきて抱っこすると泣きやみます。それは母子関係が構築されているからです。
お母さんの近くを動き回りますが、成長と共にお母さんから少しずつ遠い場所へ行けるようになります。
お母さんの元へいつでも戻って来られるという安心感が幼い子どもに刻まれ、心の発達を促していきます。
そして外で思いっきり遊んだり、新しい世界へ飛び込んだり、挑戦したりするようになります。大人になっても幼い頃の母との関係がベースとして、その人の中にあり続けます。
●母子の離別と非行の関係
お母さんと引き離された子どもは、とても辛くて寂しい思いをします。
お母さんも辛く寂しいでしょうが、子どもの方はその比ではありません。
自分を守ってくれる唯一の存在がいなくなったショックから絶望感を味わいます。
生後6か月のある期間を母親と離れて過ごした赤ちゃんには顕著な特徴が表れます。
無関心、青白い顔、活発でない、沈黙する、優しい話しかけに無反応食欲不振、食べているのに体重が増加しない、睡眠不足、うなされやすいなど
また、盗難する子どもの生活態度についての調査をご紹介します。
ある一定期間内に児童相談所で取り扱った児童を盗癖のある子とそうでない子に分けて、2つのグループからそれぞれ44人を選び出して、彼らの生活について調べました。
その結果、以下のことが分かったのです。
①盗癖のある子どもの中には、無感動的(愛情欠損的)性格の子が34人いたのに対して、盗癖の無いグループには1人もいなかった。
②盗癖のある子どもの中には、無感動的(愛情の欠損)性格の子が34人いたのに対して、盗癖の無い子どもの中には1人もいなかった。
③無感動的性格の子どもの非行は、そうでない子どもの非行に比べて悪質である。
非行の全ての原因が母子離別というわけではありませんが、子どもの心の発達にかなり問題を残してしまうのは確かです。
少年院に入った少年達の多くが、缶コーヒーやジュースなど砂糖の摂取量が極端に多いのも、背景には崩壊した食生活、お母さんの愛情不足が関係しています。
子どもの健やかな成長には、幼い頃の母子関係がとても深く関わっています。
お母さんに体を寄せて心音を聴きながら母乳を飲む。赤ちゃんにとって、何よりも幸せな時間です。
美味しい母乳を出すためにも、お母さんが玄米菜食をする事が大切です。
もし、お母さんが加工食品をたくさん食べる食事をしていたら、どうでしょうか?
母乳の営養が不足したり、化学物質が混入して母乳がまずくなると、赤ちゃんは飲みたがりません。あるいは動物性脂肪を食べていれば、母乳の出も悪くなります。
すると、いとも簡単に粉ミルクに変えてしまう。赤ちゃんは十分な営養も摂れないばかりか、心の営養も十分にもらう事が難しくなります。
粉ミルクで育てると、どうしても母乳育児と比べて母子の距離は遠くなります。それは母子間の心の関係にも影響します。
加工食品はメーカーが作った味で、家庭料理の代用とはならず、食に対する概念が壊されていきます。
・食は母から子、孫へと伝わるもの。健康な心と体を育てる。
・自然の恵みをいただく。自然の一部だと認識する。
・母や家族が作ってくれた料理は心にも深く残る。
加工食品をたくさん食べる生活は、体調も心も不安定になります。
お母さんがイライラしたりヒステリーを起こしたら、子どもは怯えて不安な氣持ちになります。
「幸福感や満足感に満たされた・・・」幸せな子育てどころではありません。
玄米菜食は子どもからお年寄りまで健康な体を作ります。
また、日本には季節ごとに節句料理が作られ、豊作を祈り、五穀豊穣に感謝し、自然やご先祖様、子孫との繋がりを大切にしていました。
節句料理の中で最も広く親しまれているのが、お正月のお節料理です。
黒豆は「まめに働く 勤労と健康」、田作りは「豊作 五穀豊穣」、えびは「長寿」、数の子は「子孫繁栄」・・・というように語呂を合わせて感謝や祈りを込め、自然の恵みをいただいてきました。
それは食品メーカーにはとても真似することのできない、ご先祖様からの大切な贈り物です。
山本和佳
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