・人は子どもを生んだだけでは、親になれない・母性のスイッチを入れる・母乳は心の営養でもある
生まれたばかりの赤ちゃんはお母さんにぴったり寄り添い、お腹が空いたらお乳を飲ませてもらいます。
それは赤ちゃんの心身が健康に育つためでありますが、それだけではありません。お母さんにとっても重要な意味があるのです。
「人は子どもを生んだだけでは、親になれない」と言われます。
生まれた子に乳房から直接授乳することでお母さんの体内でプロラクチンという催乳ホルモンが放出されます。
母乳が作り出されると共にプロラクチンが母乳ホルモンとなり、脳内にある母性スイッチをオンにすることで、母性が目覚めて成長していきます。
実際に出産後、始めのうちは授乳を拒んでいたお母さんが2度、3度と授乳するうちに母親らしくなって積極的にお乳をあげるようになったという事例があります。
生まれたばかりの赤ちゃんは、何かが唇に触れると吸う動作をする反射運動が備わっています。
赤ちゃんがお乳を吸うことで母乳が分泌されますので、母乳が出にくくても根気よく吸わせてあげることも大切です。
子どもを産んだ体は、母乳が出るように出来ています。
母乳が出るしくみをよく知らないで、自分は母乳が出ないと早くに諦めてしまうと、哺乳による刺激が母体へ十分に伝わらず、その結果母乳の分泌が始まることなく、赤ちゃんの方も粉ミルクの味に慣れてしまい母乳を欲しがらなくなる・・・というように悪い連鎖が起きて、本当に母乳が出なくなります。
それは哺乳類として非常事態です。
母乳が出ないことに対して、危機感を持ってほしいと思います。
●母乳は心の営養でもある
体への営養面から見ると、初乳にはたんぱく質が多く、これから体が成長していく段階で重要な役割があります。
そして、様々な病氣に対する免疫物質がたくさん含まれていますので、赤ちゃんをウイルスや最近から守ってくれます。
そして心の営養面では、まず赤ちゃんがお母さんの乳房に吸いつく動作が母子の信頼を築く始まりとなります。
この信頼が出来ていなかったら、大人になって他人を愛することが難しくなったり、神経症の原因になるとも言われています。
心の営養が不足したら、発達に問題を抱えたまま大人になってしまいます。
お母さんのお腹の中では胎盤を通してお母さんの血液が送り込まれ、営養を受け取っていた時期を経たばかりの赤ちゃんにとってお母さんの血液とも言える母乳で育てることが、成長段階に合っています。
母親は赤ちゃんに直接お乳を飲ませることで、遺伝子に基づく本能的母性が目覚めると言われています。
だから母親も本当に母らしくなり、赤ちゃんに心の営養を十分に与えられる存在にとなる。
こうして赤ちゃんをとりまく環境が整えられて、母親の優しい微笑みや深い愛情を一心に受けて育っていきます。
粉ミルクで育てる場合も、母親は子どもに愛情を向けると思います。
ただ、それは母親の知識としての理性的な母性であり、遺伝子によって目覚めたものではありません。
母乳の吸啜(きゅうせつ)によって目覚めた母性は無条件であり、自分の命に代えても子どもを守ろうとするものです。
数時間おきにお乳を飲ませる生活は眠さが残り、疲労も出ますがそれでも赤ちゃんが可愛くて仕方ないのです。
知識による理性的な母性は、母親の理性が健全であれば、母乳育児をする母親と同じように母性が備わるかもしれません。
しかし、ひとたび母親の理性がゆがんだり、健全に保てなくなって別の欲望が顔を出すと、理性的母性は簡単に抑え込まれてしまいます。
母親がパチンコに夢中で、車に放置された赤ちゃんが熱中症や脱水症状で命を落としてしまう悲しい事件も、本能の母性があれば起こらないものです。
粉ミルクで育てたお母さんは母乳の吸啜の機会が少なく、体内で母性ホルモンの分泌も少ないため、母性が十分に目覚めないまま育児をしなくてはなりません。
我が子が可愛くてたまらない、子育てをする無上の喜びが面倒で思うようにいかない作業のように感じてしまう。
某乳育児の放棄は、そうした懸念が残ります。
●人間不信の芽
実は、最も根本的な人間への不信感は幼児期に形成されます。
・泣いてお母さんを呼んでも無視されて、いつまでも放置されたとき・お腹が空いても、時間にならないと授乳してもらえないとき・おむつが汚れても、決められた時間にならないと取り替えてもらえないとき・遊んでほしい、外の空氣を吸いたいという欲求を受け取ってもらえないとき・テレビに子守をさせ、母親はスマホに夢中だったり、自分の好きなことをしているとき
このように自己中心的な母親の姿を見せらるうちに、人間不信になり、自らも自己中心的な価値観を学ばされてしまいます。
お乳を飲ませて育てるというように、自然の摂理に沿った子育てが母性を育みます。
●母乳が出やすくなる食事
母乳は血液の成分から作られています。そのため血液がきれいになる食事、すなわち玄米菜食をとることが大切です。
腸内細菌を整えることは必須ですので、みそや納豆、醤油、梅干しなど発酵食品を食べましょう。
腸内環境が良くなると、腸内で酵素が活発に働きます。
食事などから酵素を摂ること、そして酵素の無駄遣いを避けること。
また、体を温める根菜類も食べましょう。体が温まると母乳の分泌を促進します。
代謝が活発になると、血液の循環が盛んになり、内臓や組織の活動も活発化します。
母体の体力がついて、母乳がしっかりと出ます。
女性には冷え性の方が多いので、子どもが生まれる前から玄米菜食をして元気な赤ちゃんが育つ体を作ってください。
玄米菜食はミネラル・ビタミンを摂れますので、酵素の働きを助けます。
逆に避けたい食べ物は肉類、白砂糖、牛乳、加工食品、化学物質など。
これらからは営養が摂れない上に体内で炎症を起こし、ビタミンやミネラルを奪います。すると、たちまち全身に影響して代謝が乱れます。
補酵素としても働くビタミン・ミネラルが体内で不足したら、酵素の働きは鈍くなります。
お母さんの体力も低下して、母乳が出にくくなってしまいます。
また、お母さんの情緒も不安定になります。それは赤ちゃんにも伝わり、不安や恐怖を感じるようになります。
玄米菜食は営養バランスをとれやすく、調理にそれほど手間をかけなくても美味しく作ることができます。
忙しいお母さんの家事を少し楽にして、赤ちゃんも健康に育てられる。お母さんにとって嬉しい限りだと思うのです。
是非、子どもを産む前から玄米菜食にしてください。
人間の子どもが成長するには母性による育児が絶対に必要です。
正しい食事をして、母乳で赤ちゃんを育てる。
それが、お母さんが子育てするための力を最大限に引き出して、赤ちゃんの丈夫な発育を後押ししてくれます。
山本和佳
Kommentarer